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墓じまいは「急がないこと」が大切――家族で納得しながら進めるために

近年、「墓じまい」という言葉をよく耳にするようになりました。
少子化や核家族化が進み、お墓の維持が難しくなったり、遠方に住む家族が管理できなくなったりと、さまざまな理由で墓じまいを検討される方が増えています。

しかし、墓じまいは“急いで決めてはいけない”ことの一つです。
一度行ってしまうと元には戻せないため、家族全員が納得する形で進めることがとても大切です。

「墓じまい」は人生の節目に行う大きな決断

墓じまいとは、今あるお墓を閉じて、遺骨を永代供養墓や納骨堂などに移すことを指します。
単なる「撤去作業」ではなく、先祖代々のお墓を終わらせ、新しい供養の形に切り替えるという、人生の中でも大きな決断です。

中には「石材店から勧められて、すぐに決めた」という方もいらっしゃいます。
しかし、墓じまいは「物を片付ける」ような感覚で進めてしまうと、あとで家族の間にわだかまりが残ることもあります。
「もっと話し合っておけばよかった」「お父さんの意見を聞くべきだった」と後悔する声も少なくありません。

墓じまいは“心の整理”の時間でもあります。
焦らず、家族でゆっくり相談してから動くことが、最も大切な第一歩です。

家族の理解と同意がトラブル防止のカギ

墓じまいを進めるうえでよくあるのが、親族間の意見の食い違いです。
たとえば、

  • 長男は「維持できないから閉めよう」と考えている
  • 次男は「先祖代々の墓を残したい」と反対している
  • 遠方に住む親族が後から知って不満を持つ

このようなケースでは、手続きが止まってしまうだけでなく、感情のもつれから長年の関係にひびが入ってしまうこともあります。

行政書士として墓じまいの相談を受けるとき、私はまず「ご家族全員で話し合いをしてください」とお伝えしています。
どのような形で供養を続けるのか、誰が中心となって進めるのかを明確にし、全員の理解を得たうえで動くことが何よりも重要です。

「家族の納得」があってこそ、穏やかにご先祖様をお送りできるのです。

行政書士の立場は「中立」であり「手続きの専門家」

墓じまいを進めるうえで、石材店やお寺とのやりとりが発生します。
このとき注意してほしいのが、「石材店の立場」と「行政書士の立場」の違いです。

石材店は墓石工事の専門業者であり、営利目的のサービスを提供しています。
撤去・処分・新しい墓石の販売などが主な業務であり、どうしても“仕事としての利益”が関係してきます。

一方、行政書士は「お墓の工事を行う立場」ではありません。
あくまで、法律や行政手続きの専門家として、改葬許可申請や離檀証明書の確認、必要書類の作成など、手続き面をサポートします。

私たち行政書士の役目は、“誰かの利益のためではなく、ご依頼者とご家族の納得のため”に中立的な立場で関わることです。
「今すぐ決めましょう」という営業的な提案ではなく、「本当にこのタイミングでよいのか」「他に方法はないのか」を一緒に考えることが、行政書士の使命だと思っています。

墓じまいの流れとポイント

墓じまいの一般的な流れは、次のようになります。

手順内容
1家族での話し合い・方針決定
2お寺や霊園への相談、離檀の申し出
3改葬先(永代供養墓・納骨堂など)の選定
4行政書士が改葬許可申請書などの書類作成
5石材店によるお墓の撤去工事
6遺骨の移転、閉眼供養・開眼供養の実施

こうして見ると、墓じまいは「書類手続き」「宗教的儀式」「工事」といった複数の要素が関係しており、関係者も多くなります。
そのため、誰か一人が独断で進めてしまうと、あとでトラブルになりやすいのです。

行政書士は、これらの流れ全体を整理し、関係者との連携をスムーズに行う「橋渡し役」としてもお手伝いできます。

焦らず、心を整えてから

墓じまいは、単なる“片付け”ではなく、「家族の想いの整理」です。
焦って決めるよりも、家族で何度も話し合い、気持ちがまとまってから進めることが何よりも大切です。

行政書士は、そんな皆さまのペースを尊重し、無理のない形でサポートいたします。
営利目的ではなく、「安心と納得の墓じまい」を実現するために――
どうぞお気軽にご相談ください。

兵庫県を中心に、墓じまい・改葬・永代供養のご相談は、
行政書士室井実事務所へ。
お墓に関するお悩みを、法律と実務の両面からしっかりと支え、
ご家族の「安心」を形にいたします。